古神道と太古の "禊ぎ" ―伊勢の地で学んだこと・気づいたこと―

豊かな島づくりの豊嶋です。

2025年11月2日、3日に開催された「古神道と太古の禊ぎ」講座に参加して参りました。

「日本人でありたい」「日本を知りたい」と願う私にとって、「禊(みそぎ)」は日本という国において長い歴史があり非常に重要なものであると考えていたこと、また独立開業するにあたって心機一転、気持ちを新たにしたいという想い。

この2点により今回参加させて頂くことにしました。(一応5年ほど前にも体験したことがありましたので、今回は2回目の禊行参加となります)

今回体験してみて、個人的に禊は日本古来より連綿と続く、素晴らしい伝統的な"行"の一つだと感じました。

まだ2回ほどしか経験(前回は5年ほど前)がありませんので、初心者ならではの目線で気づいたことや感想を書かせて頂きます。

禊行に少しでも関心がある方は、ぜひご一読いただけましたら幸いです。


はじめに

日本の故郷、伊勢の地で1泊2日の合宿形式で開催された合宿は、参加者は15名程度いらっしゃいました。

初日午後から約5時間の座学があり、翌早朝から禊行、伊勢神宮に正式参拝して終了の講座プログラムでした。


古神道と禊行の先人の方々

今回講師を頂いた堀内先生は、故・菅家一比古(かんけいちひこ)先生より学ばれていた方でした。菅家先生とは、経営者でありながら30年以上毎日禊行を行っていた方になります。また、「美し国経営者連盟」の代表をしていた方でもあります。

そして、菅家先生の師匠に当たるのが、古神道家の中西旭先生であり、そのさらにルーツを辿れば明治時代に生きた「川面凡児(かわづらぼんじ)」先生に辿りつきます。川面先生は、奈良時代の頃の古い禊ぎの様式を継承・復興させた方であり、「日本神道中興の祖」にあたります。

なお川面凡児先生は、現倫理法人会創業の丸山敏雄先生の師匠にもあたるそうです。

講座が終わった後に、川面凡児先生のことに大変興味がわき、本を読んで勉強をしています。


禊行(みそぎぎょう)とは

禊行とは一体なんなのでしょうか。

日常生きていて、見栄や権力欲、お金等の「私利・私欲」にかられたり、感情的(不安、怒り、嫉妬、愚痴)になったり。心と身体があるからこそ、思い悩む。

そういった自分を「禊行」を通じて、まっさらな素の自分に戻していく。新しい自分に生まれ変わる、脱皮する。霊魂をきれいにする。(霊魂自体は元々生まれ持った綺麗なものであり、その周りにある心性意識や、肉性意識から生まれた垢を磨く)

そして、新しく生まれかった自分(生まれ持った清く正しく美しい心)で、「私」から徐々に離れ、「公」のため、「世の為、人の為」に利他の心で貢献していく。それが禊行を行う意義・目的になります。

また、自分のことだけではなく、先祖代々の罪・穢れを取り払うこと、先祖代々を代表する気持ちで執り行うことも大切だと教えて頂きました。

つまり、自分自身のためにやるのが禊行のように見えますが、それだけではないと改めて感じました。

修験道でも、禅でも、武道でも、禊行でも。「道」や「行」の世界は、手段が違うだけで目指すべき方向性はほとんど同じ(修身治国)だと感じさせられます。


海 ー水と火のエネルギー

禊行を行う場所はどこなのでしょうか。綺麗な川、海、滝。水がある場所ですよね。

そういった中で最も適している場所が、「川と海が交わる地点」で、最もエネルギー磁場の高い場所だそうです。

また、海にある「シホ(塩)」が大事であり、その理由として、「シホ」は大和言葉で「水=シ」、「火=ホ」を意味しており、つまり自然界のエネルギーの根本にあたる「水と火のエネルギーがあるから」禊行を行う場所にふさわしいとのことでした。

なるほどと思いましたし、また改めてですが、日本人が古くより話している「大和言葉」の一音一音に込められた意味と、そこから紡がれた日本思想の奥深さには驚きを隠せません。


これも禊行にあたる?

禊には広義と狭義のものがあると学びました。

広義は、「歯を磨く、靴を脱ぐ、手を洗う、風呂に入る」など。こういった日常の些細な行為も、自分の心を磨く禊行なのだと新しい気づきでした。

お風呂に関して、現実的にお風呂に入っているときにいらいらしたり感情的にはなったりする人は珍しいですよね。

これは科学的な側面で見れば、ベータ派(覚醒・集中)→アルファ波(リラックス・穏やか)に変わることで起きる現象。なので、お風呂に入ることも、自分の心の垢を取り除く、心を磨く禊ぎ的な意味合いがあるようです。

私は20代~30代前半の頃まではシャワーで済ますタイプでしたが、健康を意識して湯舟にも浸かるようになりました。こういった毎日の積み重ねが、知らず知らずのうちに禊行になっていたとは、何か得をした気分です。(笑)

なお、アルファ派のさらに上位概念には「シータ派」があります。これは深い瞑想状態の時、「私利私欲や感情」から離れ、自分が生まれ持った「良心=直霊(ナホヒ)」の状態に発せられるものだそうで、「自然に触れる、禅・瞑想」によって生まれる脳波だそう。

忙しい中でも自然に触れること、意識的に禅や瞑想に取り組む効果(シータ派)は大きくありそうですし、またどうしても忙しい場合は、湯舟につかって心を整えるだけでも(ベータ派→アルファ派へ)意味はありそうだなと感じました。


桃太郎の物語が意味するもの

――禊(みそぎ)・祓い(はらい)

興味深いお話があったのですが、日本昔話の桃太郎。この物語は、「禊・祓い」を意味しているそうです。

おじいさんの草刈りは「祓い」。
おばあさんの川での洗濯は「禊」。

その禊ぎ・祓いによって、新しい生命である桃太郎が誕生したと。

また、鬼=人間の弱い心、悪い心。それを改新することを「鬼退治」と表現している。鬼を殺すのではない、元々生まれ持った清らかな心に戻るために、「悪い鬼=弱い心、悪い心」を「退治する」という表現になっているとのこと。

この辺は日本らしい表現だなと感じます。


いざ禊行へ

早朝4時30分頃に起床。

小雨が降っており、また風も結構吹いていたのですが、これは禊行を行う前に、「場に対するお清めの禊ぎ・祓い」だったように感じます。

宿から浜辺に向かう頃には、ちょうど小雨も風も止んでいました。天運に恵まれたことに感謝です。

禊行を執り行う場所は、「二見輿玉神社境内にある浜辺と海」。こういった神社の中にある清浄な場所で執り行うことができるのは、大変有難いことです。

夜明け前の浜辺

宿から10分ほど歩き、浜辺に到着。服を脱いだ瞬間、まだ日の出前の早朝でしたので少し寒かったのですが、11月ではありましたが凍えるほどの寒さではなかったように思います。


大事な作法

――鳥船と魂振(たまふり)

禊行の前に行う作法で、最も重要になるのが「鳥船」という動作です。船を漕ぐようにして前後運動を繰り返します。

身体に力を込めて思いっきりやっていると、自然と身体の芯から温かくなり、エネルギーが溜まってきます。

そして、鳥船行事の最中に「和歌」を唄います。

(一)朝夕に かみの御前に みそぎして すめらが御代に 仕えまつらむ
(二)朝夕に かみの綾威に みそぎする 身はとこしへに 正くありこそ
(三)遠つ神 固め修めし おおやしま 天地共に とはに栄えむ
(四)天津神 國津神たち みそなわせ 思い猛びて わがなす業を

この和歌とリズムですが、大変覚えやすく、終わった後も頭の中で無限ループしていました。

また、「魂振」という動作も印象的です。へそ下3cm当たりの丹田の前で両手を重ね合わせ、上下運動を素早く繰り返します。これも、丹田にエネルギーが溜まっていき、身体全体が温かくなってきます。


実際にやってみた感想・気づき

一通りの行事・作法を浜辺で執り行った後、海の中に入り禊行となります。

水に入り、水の流れと一体になる。何とも不思議な感覚・経験ではありましたが、禊行を行って浜辺に上がると、何とも清々しくスッキリとした気持ちになりました。

浜辺に上がると、太陽が出てきており、温かい日の光に手を合わせ「有難う御座います」と拝み、素直な心で感謝をお伝えさせて頂きました。

禊行を行い終わった後には、「負の感情」や「私利私欲」的な心は一切なく、清らかな心で浜辺を後にしました。

ただし、確実に言えることとして、その心を何もせず、ずっと保つことは難しい。これを書いている今(1か月半後)でさえ、すでにあの頃の心とは違う自分です。

ですので、大事なことは「この状態をいかに保つために努力・工夫するか」ということ。人間は心と身体がある以上、何もせずとも常に清らかであることは、聖人でもない限り難しいと思います。わたしも凡夫。であるとすれば、こういった修行を、非日常的、日常的に実践していくこと。これが大切だと思いました。


さいごに

人生で過去に1度だけ禊行を行ったことがありますが、それ以来約5年ぶりの禊行となりました。

奈良時代の太古より続く禊行を、伝統的な作法に沿って執り行うことができ、とても身が引き締まる思いです。

この日は11月3日。明治節にあたります。日本の故郷伊勢の地において、日本とご先祖様を代表する心意気で、日本と世界の安寧や、ご先祖様供養を願い、禊行を執り行うことができ、とても充実した2日間でした。

学問的に頭で日本の伝統文化・歴史を学ぶことも大切ですが、実際に自分の身体や感性を使って、体感してみることの大切さを改めて実感しました。

今後も禊行や、日本の伝統文化に触れながら、自分の心を磨き高め、日本人としての心を養い、人生を歩んでいきたいと思います。

今回学ばせて頂いた堀内先生、事務局の浜野様、並びに参加者の方に心より感謝です。

ご関心のあられる方、ぜひ禊行を体験してみてもらえたら嬉しく思います。


豊かな島づくり
豊嶋

\ 最新情報をチェック /